GUEST ROOM13
須崎様こと別HN・海彦様のサイトの2,000hitのキリ番を、私が踏みましたので、
ESCAPEのSSを戴きました♪
エスケのサイトではないのに、無謀なリクエストを聞いて下さった、須崎様に感謝しています。
甘々で、せつない「早乙女×アキラ」のお話、皆様、ご堪能下さいませ☆
「garden×garden」 作・須崎
CLUB DANDYの最後の客を見送って、閉じられた店内。
店に最後まで残ったのは、帳簿を合わせる為に残った早乙女と、それに付き合う形で居残った
アキラだけだった。
店内は窓一つ無い締め切った空間で、そこはいつでもホストとレディ達の遊戯の時間を醸し出している。
早乙女を待つ間、店内の片付けやら、明日の準備やらをしていたアキラは、度々やって来る睡魔に
欠伸をかみ殺していた。
そんな姿を何度か目にして早乙女は、棚から一本無造作にウィスキーを取り出してアキラに持ちかけた。
「どうだ?そろそろ一杯やらないか?」
顔の前に持ち上げたボトルをアキラに見せながら、いたずらっぽく笑ってみせる。
すると、さっきまでは椅子を持ち上げてはこっくり、テーブルを拭いては欠伸をしていたアキラが
人が変わったように顔を輝かせて、
「お!いいねぇ。待ってました!」
と、俄然元気になってはりきりだした。
そんな姿に苦笑しながら、ボトルをアキラに手渡して、早乙女はソファに腰掛けながら
楽しげに用意を始めるアキラに視線を移す。
アキラをこの店にスカウトしてから、一緒に仕事をしたり、私生活にまで入り込ませたりして
随分同じ時間を過ごしたようにも思う。
考えてみれば、普通、まだ高校生のアキラをスカウトなんかしてホストにしてしまうなんて
考えられない事なのだろうが、実際こうして一緒に居るとただスカウトしたというよりは、
惹かれるであろう事を本能が見越して声をかけてしまった、、というのが妥当かもしれない。
(、、、つまりは、側に置いておきたかった、、ってことか?)
早乙女は行き着いた一つの答えに、我ながら内心で苦笑した。
(公私混同もいいところだな、、。)
確かに惹かれるものがあったのだろう。
初めて自宅のマンションの窓辺から目にした時から、記憶の端には引っかかっていたのだから。
これまで、お互いよくやってきた。
仕事のパートナーとしても、身体を繋ぐ関係としても、、。
だがそれもいつまでも続く訳ではない。
年が明ければアキラは卒業して、自分の道に戻るだろう。
今はただ、ほんの少し寄り道しているにすぎないのだから。
「雛はやがて、巣立って行く、、か。」
自然と口を突いて出てきた早乙女の言葉に、アキラはグラスを手に振り返った。
「何?早乙女さん、何か言った?」
両手にグラスを持って戻ってきたアキラに早乙女は、
「"早乙女"じゃない、二人の時は、悦史、だろ?元基。」
と、お互いの源氏名を捨てた呼び名に訂正した。
「ん、ごめん。つい店の中だとそう呼んじゃうんだよね、で、何?悦史さん、今何か言ったでしょ?」
片一方のグラスを早乙女に渡しながらアキラは尋ねる。
「あぁ、別に。それより、、なぁ?」
あまり追求されないように話題変換するべく、アキラに手渡されたグラスを口に運びながら、
「今度、何処かへ行かないか?」
と持ちかけた。我ながら悪くない思いつきだ、と思いながら。
「何処かって?」
アキラはその提案に乗って楽しげに尋ね返す。
「何処かだよ、うん、何処かに旅行しよう。」
言っているうちに、早乙女の中では決定事項になっていった。
「二人で?」
アキラが確認するように尋ねて、
「二人で、だ。」
早乙女が微笑み返す。
「いいね、じゃあ海の近くにある温泉行こ!昼間は海でおもいっきし泳いで、夜は温泉で休んでさ、、」
アキラの提案に早乙女はため息を吐きながら、
「おいおい、こんな真夏に海なんか行って、俺に日焼けしろっていうのか?
まぁ、おまえは日焼けしようが、いくら泳ごうが体力はありあまっていそうだが、、。」
そんな事を言う早乙女に向かってアキラは、
「う〜ん、日焼けした悦史さんもワイルドでいいかもよ?店の女の子が卒倒しちゃうかもね。」
と、ちゃかして言うのだった。
旅行の話、他愛の無い話、杯を幾杯も空けて、、。
きっと、もう空は明るいんだろう。
それでもまだ帰る気にはなれない。
まだ、こうしていたい、と早乙女は思った。
テーブルを挟んだアキラに手を伸ばして、頬を辿り、スクエアの眼鏡を取りさって、
酒で少し潤んできた瞳を見つめる。
こうして、手を伸ばせば触れることが出来るのに、いつかはこの手を離れて行くのかと思うと
寂しい気がした。
(少し、感傷的だな、今日は。)
そう思っていると、何時の間にか横にアキラが移動して来て、早乙女を覗き込んできた。
「なんだかやっぱ、今日の悦史さんはおかしいよ。」
何を隠している?と探るアキラの眼差しを受けて、そうそう容易くは悟らせまいと視線を返す。
暫らくはそうしてお互い瞳で探り合って、先に折れたアキラが、
「まぁ、いいよ。どうせ悦史さんは教えてくれる気ないんだろ。」
と、アキラは一つ息をつき早乙女の肩にこつん、と凭れた。
そうすると、早乙女のつける香水がアキラの鼻腔をくすぐる。
「いつも思うんだけどさ、悦史さんの匂いっていい匂いだよね。これじゃ、甘い香りに誘われて、
女の子が離れられないわけだよね。」
アキラはもう一度深く香りを吸い込んで、
「そして俺はさながら、蜜に捕われたミツバチってとこかな。」
と少し愉快そうに言うと、
「随分デカイ、ミツバチだな。」
と早乙女に笑われた。
「アハハハっ!うん、俺デカイからよく、食うよ。だから、たくさん蜜を下さいな。」
とちゃめっけたっぷりに言ってみせるアキラに、早乙女は挑戦的な笑みを返して、
グラスに残るウィスキーを口に含むと、そのままアキラの顎を掴んで口付けた。
暫らくの沈黙。
音は、二人の間から起こる僅かな音だけ。
早乙女が離れて、やっと時間が動きだす。
「、、やっぱ、ズルイよなぁ。こんなのされたんじゃ、今日一日忘れられないじゃない。」
アキラから小さな抗議を返されて、早乙女は艶然と微笑んだ。
(いつかおまえが俺の元を去っても、それもまあいいさ。)
もう一度、身体を引き寄せて、
「じゃあ、もっと忘れなくしてやろう。」
耳元に囁きを、
(おまえの中に俺を刻んで、忘れられないようにするから、、)
「覚えておけよ?俺の味」
(だからまた、戻って来い、、。)
「なぁ。みつばち君」
Fin
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