GUEST ROOM41
この作品は、夏野 行様のサイト「Love confusion」内の「Love sandwich」に
置かれていたもので、「サンドイッチ」・・つまり、早乙女さんが、アキラと大和の
二人に攻められる、3○な作品です。
普通のCP以外(複数との関係)が、苦手な方は、ご遠慮下さい。
「惑乱」 作・夏野 行
なぜこんなことになっているのか。
解らぬままに、衝動が身体を突き動かす。腰が揺れる。
女と肌を重ねたことは数え切れぬほど。ホスト長という仕事柄、それなりに色恋の経験も豊富だと自負していたのに。今の彼は、神経の末端まで快楽に満ちて、ひっきりなしによがり声をあげている。喘いでいる。
身体の奥底でうねるそれが、なぜこんな最上の快楽をもたらすのか。
もう頭で考えることすら出来ない。
「う…ひっ…あ、ぐぅっ!」
背後から揺さぶられるたび、獣じみた声が喉から迸るのを止められない。
「…どう?いい?」
笑いを含んだ声が後で囁く。自分よりはるかに体力もあり若く、エネルギッシュな青年の吐息は焼けるように熱く、湿っている。
「…い…い…も…うっ…!」
「だめだよ」
彼の胸に舌を這わせていた少年が、顔をあげて笑った。
「もっと乱れてくんなきゃ」
「そうだな。イく瞬間の顔も見てみたいが…この格好じゃ無理なんだよな…」
揺さぶり突き入れながら、背後で笑いを含んだ声がする。
「OK、あとで交代な、先輩」
「…ひっ!…ああっ!」
グイ、と逞しいものが最奥に捻じ込まれ、同時に屹立したものを少年の手に扱かれ、目もくらむような快感が全身を襲う。
「…ぃ…あ、あああっ!」
「そう…その声ですよ」
「いい声出すんだなぁ…」
「お…ま、え…らっ」
「すっげぇ、色っぽい…ゾクゾクする…もっと感じて、早乙女さん」
漆黒の瞳をきらめかせて顔を覗き込む少年の顔を凝視しながら、彼は三度目の解放を迎えた。
-◇-
その少年を一目見て、惹きつけられるものを感じた。
生気ある黒い瞳に精悍な面差し、若い狼のように飢えた凶暴な眼。反面どこか危なげな脆さがある。彼は見るからに若く、そしてあまりにも彼の仕事場には不似合いだった。
セフレの一人に、こんな奴がいてもいい。
最初は、そんな軽い気持ちで手なづけた。女性経験は少ないなりあったらしい彼…真島大和を、男同士の快感が優先するセックスに誘い込むのは、早乙女にとって造作も無いことだった。
大和はすぐに早乙女の手管に、身体に、そして早乙女自身に夢中になった。店のホストに間違えられるほど足しげくやって来ては、早乙女の誘惑に軽々と乗った。
抱けば素直に反応する若い身体を可愛いと思い、しなやかで激しい肢体を愛撫するのもそれなりに新鮮で楽しかった。
やがて、抱かれる快感を知り尽くした大和は、男の本能からか今度は自分が早乙女を抱きたいと言い出した。
「だめだよ」
ベッドの中でねだられらとき、早乙女は微笑みながらそう答えた。
「えーっ、なんでだよ!俺じゃ駄目だとでもいいたいのかよっ!!」
「ああ」
頷くと、面白いほど予想通りにムッとふくれ、少し傷ついた眼で彼を見た。
「そりゃ、俺は早乙女さんほど巧くないかもしれないけどさ…」
「馬鹿だね、大和。そんな理由じゃないよ」
実際、早乙女を屈服させたいと願う男は何人も居た。だが、名実共に自分より上の男でなければ、身体を開かない。それが身体を張って仕事をしてきた、早乙女なりの信条だった。おかげで、彼をよく知る一部の人間には『思う通りに動かぬ情の強い男』と云われている。
「じゃ、なんなんだよ」
若い野獣の目でねめつける大和を、早乙女は笑顔でかわす。
「…俺の下で乱れる早乙女さんの顔、見てみたいんだ…」
小さく呟いた大和に、思わず笑みが漏れる。
昨夜、同じ言葉を呟いた男を思い出した。
「れ…いじ、さ……はぁっ」
広く逞しい肩がシーツの上で仰け反る。大男二人の重みを受け止めかね、ベッドがギシギシと悲鳴のような軋みをあげる。
「ほら…もっと足を開いて」
ふふ、と含み笑いしながら早乙女はなおも深く腰を打ち付ける。
馴らし抱くうちに、男のその箇所は柔らかく包み込む場所にかわる。
心地よく早乙女を締め付ける。
「すごく、いいよ…」
耳朶を舌先で弄りながら囁くと、押し殺した声が喉の奥から漏れる。
「感じている?」
「…ん……ああ……」
「綺麗な身体だ…」
水泳で鍛えられた彼の身体は早乙女よりずっと逞しい。ねじれた腹筋が、腰を使うたび波打つように動く。無意識に腰を動かしながら、早乙女はしばしその肢体に見惚れることがあるほどだ。
「本当に綺麗だよ…アキラ」
黒い切れ長の瞳が、うっすらと開いた。
スカウトした時は私服だったから、まさか彼が高校生だとは思わなかった。それほど大人びた雰囲気を身にまとっていた。さすがにホストは無理かと諦めかけた時、向こうから話に乗ってきた。
扱いはバイト、学業に影響ない時間帯という約束で店に出はじめ、今では並み居る本業を押さえて、トップクラスの稼ぎ頭になっている。
そつなく客をこなし、会話もエスコートもこなす。けれどどれだけ長くこの世界に居ても、芯までは染まらないのがアキラだ、と早乙女は思う。元来スポーツマンだからなのか、カラッとさばけた明るい性格は男女を問わず好かれる。ねたみや嫉みをかいくぐって上手く渡ってゆけるのは、それだけで一種の才能かもしれない。
男女を問わず、才能有る人間は好きだ。だから、一歩踏み込んだ関係になりたいといわれた時、ためらいなくアキラを受け入れた。巧みなキスで追い上げ、押し倒した。抱かれる立場にはさすがに抵抗があったようだが、一度快感を覚えてしまえば、驚くほど柔軟に体を開いた。が、しかし…
「麗士さん…」
互いに一段落着いて、汗だくの身体をベッドに投げ出した時。
彼を上から見下ろす格好で、アキラが低く訊ねた。
「まだ…だめですか」
「なにが?」
はぐらかすように答えた早乙女に、光る眼で言葉を重ねる。
「まだ…抱かせてもらえませんか」
「あれだけしたのに、まだ足りないのかい?」
「そんな…そういうわけじゃありませんよ。ただ、俺は…」
「なんだい?」
「俺の腕の中で乱れる麗士さんを、見てみたいんです…」
ついと目を逸らし、アキラが呟いた。
-◇-
(どうも…今夜はだるいな)
頭がぼんやりしている。少し熱があるかもしれない。
早乙女は誰にも気づかれぬよう、小さな吐息をついた。
金曜の夜らしく、店は今夜も盛況だった。
いま流行のホストクラブという特集で、つい先日、女性向け雑誌の取材を受けた。美形揃いのホストの中でも筆頭を行くホスト長、早乙女麗士の顔が紙面を飾ったおかげで、今週はびっしり指名が入った。
店が終われば終わったで日々の雑務がある。十数人いるのホスト全員の状態を把握し、客の希望通り同伴の割り振りをするのも彼の仕事だ。
(すこし、無理がたたったのかもしれないな…)
時刻は二時と少し過ぎ。あと30分もすれば客も帰り、店を閉められるだろう。
幸い明日は休みだ。部屋でゆっくり休むことにしよう。
「ねえ、麗士〜、お酒なくなっちゃったわ。作って」
「仰せのままに」
しなだれかかる女性客に笑顔で応えて、腰を浮かしグラスに手を伸ばした一瞬、くらりとした。指先が触れたグラスが床に落ちて、パリンと乾いた音がした。
「だいたい、働きすぎなんですよ」
頭上でどこか怒ったような声が響く。
逞しい腕が、脇からしっかりと早乙女を支えている。
美貌のホスト長がグラスを取り落とし、なおかつ床にうずくまるという椿事に、女性客の大部分は悲鳴をあげ、一時店内は騒然としたのだが、結局、早乙女の強制早退ということで事態は収まった。アキラが付き添いを買って出て、今、二人は早乙女のマンション前に到着したところである。
「麗士さん、この二週間休み取ってないでしょう?」
「アキラ、もう…ここでいいから」
「駄目ですよ。まだ足元ふらついてるじゃないですか。俺、部屋までついて行きますから」
切れ長の眼がじろりと睨むのへ軽く溜息をついて、マンション入り口でオートロックを解除した。肩を抱かれるようにエントランスをくぐった時。
「早乙女さんっ?!」
背後から名前を呼ばれ足が止まった。と同時に、今夜彼を部屋へ呼んでいたことを思い出した。
「ま…じま?」
「あ…上条先輩…」
互いの顔を見つめた二人は、次の瞬間同時にこちらを見た。
「…早乙女さん、どうしたの?具合悪いの?」
「ああ。とにかく、部屋に行こう」
二人の声をどこか遠くに聞きながら、早乙女はまた軽く溜息をついた。
部屋に戻りベッドに身を横たえると。
不思議なもので、それまでの睡魔は遠のき、頭が冴えてきた。
「ふぅ…」
全身の力を抜いて、大きく溜息をつく。
二人は、壊れ物を扱うように早乙女をベッドに横たえると、静かに寝室を出て行った。が、そのまま帰るつもりはないらしい。リビングから、かすかに話し声がする。
彼らは同じ高校の先輩後輩だ。
もとはといえば、上条−−源氏名アキラを探しに店に来たのが、大和との出逢いだったのだ。どうやらあの頃、大和は上条を慕っていたらしいのだが、それを早乙女が横から奪った形になった。
ふたりは、互いが早乙女と身体を重ねる関係だとは知らない。
わからないよう、巧妙に隠してきたつもりだ。
が、しかし…
(これから…どうなる?)
白い天井を見つめながら、他人事のように思った。
ふたりとも気に入っている。容姿も性格も好きだし、セックスの相性もいい。
どちらを失うのも手痛かったが、不実を責められれば言い訳の仕様がない。身から出たサビと思えばそれまでだ。
残念だが、両方と手を切って関係を清算するしかないだろう。
リビングの方でガタン、と何かが倒れる音がした。
「……!」
だるい身体を起こしてベッドを出た。
足元が少しふらついたが、気分はだいぶ回復している。
アキラが声を荒げるのは見たことが無いが、あの血気盛んな大和ならテーブルをひっくりかえすぐらいのことはやりかねない。
男同士の修羅場などごめんだ。
「……早乙女ッ!!」
ドアをあけると、パッと大和が振り返った。案の定、その足元に蹴飛ばされたのだろう、ラタンのラックが転がっている。
「どうしたんだい?」
平静を装って、カウチに腰を下ろす。
「起きていて平気なんですか?」
窓際に立っていたアキラが尋ねた。
「ああ…迷惑をかけて悪かった。もう大丈夫だよ」
暗に帰っていい、と含ませた言葉はアキラには通じなかった。
「ひとつ、聞いてもいいですか」
切り口上で訊ねる彼の顔が、いつになく強張っている。
「駄目だ」
「早乙女さんッ…先輩とも…」
「…断っておくが、わたしは」
二人を手で制して、溜息をついた。
「今のところ、誰か一人の恋人になるつもりはないよ。それが女にせよ…男にせよ、ね。君たちにも恋人という言葉を使ったことは無いはずだが」
なるべく冷淡に言葉を選びながら、胸の奥では痛みを感じていた。
きっと彼らは怒って離れてゆく。大和は二度と店には現れないだろう。アキラは店を辞めるかもしれない。
突然、自分の本音が見えた。
自分は、二人とも欲しいのだ。
どちらも手元に置いておきたかったのだ。だからどちらも受け入れた。
選ぶことが出来なかったから。
「そ…っか。わかったよ、じゃあ、」
真夜中の部屋に、永遠にも思える沈黙がおりて。
最初に口を開いたのは大和だった。
「俺たちがOKなら…さ。三人でやっても問題ないってことだよな?」
「……え?」
「上条先輩、どう?これから試してみない?」
「試す、って…まさか」
「だってさ、相手が二人でも三人でも…早乙女さんは気にしない、ってことなんだろ?みんなの恋人で、みんなのセックスフレンド。最高じゃねーか」
若い牡の凶悪さを剥き出しに、大和が笑った。
「ばっ…な、なにを−−−」
「今の早乙女さんなら、俺たちで押し倒せるよな?」
眼で問い掛けた大和に、アキラは乾いた唇を舐めた。
そのまま、早乙女は否応なく寝室へと引き戻された。
シャツを引きむしられ、抗う間もなく大和に唇をふさがれて。男二人の獲物となった身体は、くまなく四本の手にまさぐられ、あますところなく肌に吸いつかれ、くぐもった声を上げる快楽の器に成り果てた。
感じるところを的確に責め上げる二人に、叫び声は喘ぎに変わり。湿った体液の音が部屋に響く頃には、力なく身をよじり、すすり泣く声をあげさせられ。
「…ひっ…ああっ……うっ……んっ!」
「すごい…いい声、早乙女さん」
少年が笑う。
「怪我をしないよう、念入りにほぐさなけりゃな」
興奮を隠せない無骨な男の指が乱暴に後ろを探り、身体の芯に電気が走る。
止められぬ女のような声が、喉の奥から漏れた。
「前、もう溢れてますよ…ほら、こんなに」
「あ、ああっ」
「俺…もう限界だ。…真島、先にいいか」
「あー…それじゃしょーがないですよね…いいけど、壊さないでくださいよ」
「気をつける」
ニッと場違いなほど爽やかに微笑んで、アキラが早乙女を覗き込んだ。
「今夜は俺に抱かれてください…」
脇に抱きこむように、くるりと早乙女の身体を反転させると、腰を抱えて。
「行きますよ」
「ひっ!!…うああっ!!」
背後から一息に突き込まれたものが、中を圧迫した。
「まだ半分…もう少し…」
「ぐっ…ああああああ!!」
アキラを全て受け入れ、シーツに突っ伏したまま、早乙女は大きく身を奮わせた。その髪をかきわけ、耳朶に大和が舌を這わせる。
「うっ…いい…中が、締まるっ…」
「早乙女さん、ここ弱いんだよね。あと、ここも」
大和が、背骨のラインにそって舌先を滑らせる。
「いっ…や、やまとっ…!!」
「ほら、腰上げて。前、弄ってあげるよ」
大和がそそりたつ早乙女のものに指を絡ませながら、なおも背筋に唇を落とす。
「や…めろっ…」
「嫌がったって駄目だよ。ここ、もうカチカチじゃん」
囁く大和の声が遠い。
深すぎる快感は痛いのだと知った。全身が過敏になりすぎて、熱い背後の身体を、大和の唇を感じるたび肌が焼けるように熱くなる。それが、痛い。
恐怖心が黒雲のように胸のうちを覆ってゆく。
駄目だ。このまま続けられたら、神経が焼ききれてしまう。
「も…だめっ……!!」
悲鳴に近い声で訴えた早乙女に、アキラが笑いを含んだ声で応えた。
「まだこれからなのに。ま…いいですよ。二度目は長いですから」
打ち付けるストロークが速く強くなった。
容赦なく抉り、煽る力に圧倒され流されるままに。
いつしか自らも激しく腰を揺らしながら、早乙女は眼もくらむような快感に身を投げた。
-◇-
その後、ようやく放ったアキラと交代した大和にまた貫かれ。さらにもう一度づつ二人を受け入れた。
五度目の解放を迎えた直後、とうとう意識を失ったらしい。
目覚めたら霞む視界の中、左右から覗き込む二つの顔があった。
「…大丈夫ですか」
返事をするのも億劫なほど、全身が泥のように重かった。
「…まえ、ら……」
舌が喉に張りつき、声が出ない。
「こ…んなこと…して…ゲボッ!ゴボッ!!」
途中で咳こんだ口元に、大和がペットボトルを差し出した。促されるままにスポーツ飲料を口に含み、はじめて自分がバスローブを羽織っているのに気づいた。シーツも新しいものに代えられている。
目前の、心配そうに早乙女を除きこんでいる男二人が下着一枚の半裸なのが、いっそ笑える。
(仕返しの…つもりなのか?)
云いかけた言葉を呑み込んだ。自然、苦笑が漏れる。不意に黙り込んだ早乙女に、目に見えて男二人が慌てた。
「あのあのっ…ムチャしてごめん!早乙女さん、体調悪かったんだろ?」
「当然…俺たちのこと、怒ってます…よね?」
「………よかったか?」
口を湿らせ、ようやく動いた口で訊いた。驚いたように眼を見開いた二人は、思わず顔を見合わせてから、また同時に早乙女を見た。
「えっ…それは、あの!すごく…」
「よかった。最高!」
二人がまた慌てふためいて叫ぶように答える。
自然に頬が緩んだ。
失うことを畏れたのは、自分の方だったのに。
早乙女さんは?と遠慮がちな大和の問いかけに軽く息をつくと、シーツに身を投げた。全身がギシギシと痛んだけれど、それはどこか心地いい痛みだった。
「抱かれてこんなに感じたのは、久しぶりだ」
軽く微笑んで。
早乙女は、二人の男にそう答えた。
-end-
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