早乙女さんのお話13
私・ひいろの初めてのゲスト参加・合同誌「ロリロリポップ、BL版、相姦号(そうかんごう)」の
前編とも言える、「元基×悦史」の物語を、書いてみました。
合同誌との連動企画として、併せて、お楽しみ頂けると、嬉しいです☆

「Heart Beat」 by ひいろ


「色んなバンドのコピーも良いが、そろそろオリジナルも、一曲ぐらい、やってみたいよな・・。」

俺がギターで作曲を始めるようになったのは、悦史さんのそんな一言からだった。


『club DANDY』のショータイムで、ライブをやるようになって、早数ヶ月。

ジャンルは、日替わりで、ジャズにロックにポップスと、様々だが、店の雰囲気を損ねないよう、

ホスト長の早乙女さんが、出演バンドも演奏曲も、厳選している。

そんな中、サービスの一環で、月一で、俺と早乙女さんが結成した、俄かバンドも演奏する。

ショータイムの新しい企画を立てる時、その場に居合わせた俺が、つい

「バンドなんて、どうすか?」

と、思わず口を滑らせてしまったのが、全ての始まりと言える。

その時、一緒にいた、悦史さん・・こと、早乙女さんに

「そう言えば、お前の履歴書の趣味・嗜好欄に、音楽って書いてたよな。」

と、突っ込まれ、そのまま、メンバーに入れられていた。

パートは、ギターが俺で、早乙女さんがボーカル兼ピアノ。

ベースとドラムは、スタジオ・ミュージシャンでもあり、この店の近くのライブハウスで、時折、

活動している30代の男性二人が、助っ人のサポートメンバーとして、入ってくれている。

二人とも、早乙女さんの、古くからの知り合いだとか・・一体、何処で出逢って、どんな関係だったのか、

気になるけど、早乙女さんの意外な人脈に、時々、俺は、酷く驚かされる。

俺たちのバンドが、どの日にやるか、予告はしてないから、観れるのは、ある意味、運でもある。

いずれは、この店のメンバーだけでのバンド結成の、野望らしきものもあるらしく、ウチに入りたての

新米ホストに時々、早乙女さんは、バンドへの勧誘もやっている。

今にして思えば、ホストで音楽好きの奴なんて、他にもいたんじゃないかと思うけど、悦史さんと一緒に、

バンドをやれるのは、正直、とても嬉しい。

最初は、ギターのコードすら良くわかってなかった俺が、早乙女さんの根気強いレッスンが効いたのか、

今では、こうして、バンドで演奏するのは、水泳の次に好きかもと思えるほどだ。

勿論、「好き」は好きでも、悦史さんだけは、別格だけど。

ただ、人前での演奏は、今でも、とても緊張する。

初めてのライブは、本当にガチガチで、失敗の連続だった。

早乙女さんの上手いフォローが無かったら、そのまま続けたい気持ちには、なれなかったかもしれない。


俺のアパートでは、さすがに音を出すわけにもいかなくて、ギターの練習は、専ら、客入れ前の店か、

防音の効いた、悦史さんの部屋が殆んどだ。


「こんな感じ、どうかな?」

アコースティックギターを抱え、鼻歌交じりに、俺が作ったメロディーを、悦史さんに聴かせてみた。

「・・。」

しばらくそのまま聴いて、俺の演奏が止まると、悦史さんが笑顔を見せた。

「なかなか良いじゃないか!で、詞は、どうするんだ?」

「俺がそのまま書いても良いんだけど・・悦史さん、書いてくれないかな?」

「俺が書くのか?今まで、詞なんて書いたこと無いぞ?」

「だったら、尚更、書いてみてよ。悦史さんが、どんな詞を書くのか、俺、スゲー気になる!」

「じゃあ、お前、俺の代わりに、たまには歌ってみるか?」

「え?俺の声より、悦史さんの声の方が、お客さんは嬉しいんじゃないの?」

「ピアノ、弾いてやるから、俺のために歌ってくれよ、元基。」

「・・それ、ずるいよ・・悦史さん。そんな風に言われたら、俺、歌うしかないじゃん。」

「お前が歌ってくれるなら、俺は何でもしてやるよ。」

困ったフリをしながら、でも、悦史さんの書いた詞を悦史さんのピアノ付きで、歌えるのは、内心嬉しかった。

「なんだか、悦史さんに上手く乗せられた気もするけど・・と言うことは、初オリジナルは、俺たちの

愛の共同作業ってことだね。」

「・・おい・・。」

「何か間違ってる?悦史さん。」

にっこり笑い掛けると、

「共同作業は、ともかくな・・まあ、いいか・・。」

悦史さんが、複雑な表情をした。曖昧に濁した言葉尻とは裏腹に、何処か嬉しそうにも見える。

「歌詞、出来上がるの、楽しみにしてるよ、悦史さん。」

「あまり期待しないで、待っててくれよ。」


約10日後、悦史さんから、B5サイズのレポート用紙に手書きで書かれた歌詞を、手渡された。

「完成、おめでとう、悦史さん。」

「とりあえず、読んでみてくれるか?」

店でも、ウチでも、悦史さんは、時間のある時には、ノートに向かって、何度も書き直しを繰り返していた。

悦史さんが綴った言葉の一つ一つを噛み締めるように、じっくりと一行一行を目で追っていく。

『LOVE SONG』と仮タイトルを付けられた、一枚の紙の中に、溢れんばかりの愛の言葉があった。

「・・この歌詞のモデル、誰・・?」

「言わせるのか?・・お前に決まってるだろ。」

照れ隠しのようにボソッと呟いた悦史さんが、可愛くてたまらなかった。

胸が熱くなり、歌詞の紙を持ったまま、ギュッと悦史さんを抱き締める。

「こら・・折角書いたのに、潰れちまうだろ?元基。」

「こんな熱いラブレター書かれて、俺が喜ばない訳ないでしょ。」

額、頬、鼻、唇と、悦史さんにキスの雨を降らせる。

悦史さんが、くすぐったそうに笑った。

「元基・・お前が好きだよ。」

「俺も・・悦史さん。」

「そんなに顔中、舐めるみたいに、キスするな・・これじゃ、まるで、大型犬が、じゃれ付いてるみたいだ。」

あまりのたくさんのキスに、悦史さんが、苦笑する。

「そう?俺、悦史さんになら、飼われてもいいよ。」

「お前なら、面倒の見甲斐は、かなり、ありそうだな。・・なあ、これ、曲に乗せて、確かめてみてくれないか。」

「もっとずっと、悦史さんを抱きしめていたい・・。」

「次のライブまで、日程が迫ってるのは、わかってるだろ?」

「そうだね・・離したくないけど・・。」

この腕の中の悦史さんを手放すのは惜しいが、ギターは別の部屋にある。

「キス、もう一度したら、ギター、取って来るから、ちょっと待ってて。」

「わかったよ、元基。」

「んっ・・。」

悦史さんの柔らかい唇に、改めて、口付けた。


ギターを弾きながら、悦史さんが書いてくれた歌詞を、曲に嵌めて、口ずさんでみる。

言葉数や歌いにくい部分を、二人で、歌いながら、修正していった。

一緒に歌うと、二人で作り上げた歌だと、実感して、喜びが込み上げる。

「これ、サビんとこで、ハモったりしても、面白いかもな。」

「俺も、今、そう思ってたとこだよ。今回は、リハまで、時間、少ないけど、その次のライブには、

そんなアレンジにもチャレンジしてみたいよね。」

「この曲を、生でやるの、楽しみだよ。」

「これ、作詞、頑張ってくれた、悦史さんへのご褒美。」

「ご褒美?」

「・・と言うか、お礼かな!?」

奥の部屋にギターを取りに行くついでに、用意していたプレゼントも持って来ていた。

それを、悦史さんに渡す。

手渡された小さな箱を見て、悦史さんが不思議そうな顔をした。

「お前だって、作曲したんだから、俺に・・だけなんて、変だろ。」

「悦史さんに、似合いそうなもの、見つけて来たんだよ、開けてみて。」

「薔薇のピアスか・・あれ?もしかして、これ、ハンドメイドなのか?」

「悦史さん、よくわかったね。クリスタルの工房もやってる店で、見つけたんだよ。」

透明の小さな薔薇は、似ているようで、片方ずつ、微妙に形が違う。

プライベートでは、殆んど付けないけど、店でライブをやり始めてから、悦史さんは、右の耳朶にも、

ピアス用の穴を開けた。

新たに開けることで、どうやら、自分への気合を入れたかったらしい。

「ありがとう、元基。」

「俺が、つけてあげようか?悦史さん。」

「ああ、頼むよ。」

二つの小さなピアスを手のひらに載せ、悦史さんに近寄る。

耳朶に顔を寄せ、左耳から、他の部分を気付けないように、慎重に、金具を穴に刺し込んだ。

金具の冷たさを感じたのか、一瞬、悦史さんが、目をギュッと閉じた。

「悦史さんって、ピアスつける時の顔、スゲー色っぽい・・。」

「・・もう片方、残ってるだろ・・。」

悦史さんが赤くなりながら、言った。

「じゃあ、こっちも付けるね。」

悦史さんの右耳にも、ピアスを付ける。

さっきと同じような表情を、悦史さんが、見せた。

「どうだ?」

「ちゃんと、似合ってるよ、悦史さん。」

ピアスを付けたばかりの右耳に、唇で触れて、囁いた。

「・・っ・・感じるから・・やめろ・・。」

「ピアスすると、やっぱり、身体が、敏感になるのかな?・・隠してもダメだよ。」

「元基・・あ・・。」

俺が、さっきの悦史さんの顔に煽られたように、悦史さんも、俺と同じ場所が、興奮し始めていた。

服越しに、触って、膨らみを辿る。

「俺のも、一緒だから・・。」

悦史さんの手を引き寄せて、俺のモノに導いた。

「・・さっきも、言ったが・・。」

「シッ!」

悦史さんの唇に、人差し指を当て、それ以上の言葉を遮った。

「わかってるよ・・俺だって、今、悦史さんに無理させたくないし・・でも、触れ合うだけなら、いいだろ?」

悦史さんが、自分の昂ぶりに、観念したように、頷いた。

深く口付け合って、互いの身体を密着すると、それぞれのファスナーを、ゆっくり下ろす。

中から、勃起したモノを取り出し、互いの手で、握り合った。

「お前の、熱い・・。」

「・・悦史さんこそ・・。」

掠れた悦史さんの囁きに、俺のモノが、ドクッと音を立て、大きさを増した。

「凄いな・・でも、まだ、出すなよ・・一緒にイキたいんだ・・元基。」

悦史さんの言葉に応えて、幹に片手全ての指を絡め、同じ場所を探し、同じリズムで、擦る。

自慰と違う、悦史さんの手の感触と、愛撫に酔う。

ぐちゅぐちゅと、淫猥な音をさせ、俺も、自分の手の中に、悦史さんのモノの脈動を感じる。

「・・元基・・俺の・・出そうだ・・。」

いつもより早く、悦史さんが根を上げた。

「俺のは、もうちょっと・・。」

悦史さんが、俺のモノを擦り上げるスピードを速めた。

「悦史さん・・俺も、イキそう・・っ。」

荒い呼吸の中で、息遣いを感じながら、激しく擦り立てる。

汗ばんだ顔で、必死な表情を見せながら、俺のモノを擦り、自分も達しようとしている悦史さんは、

この上なく、淫靡に見える。

「悦史・・綺麗だ・・。」

俺の声に、悦史さんの身体が、ビクンと反応した。

「・・っあ・・もと・・き・・出るっ・・!」

悦史さんの爪が、俺の先端を掠めた。

その刺激に、射精感が一気に高まる。

「俺も・・出るよ・・悦史さん・・っ!」

ビュクビュクと、互いの手のひらに、熱く白濁した体液が、溢れ出た。


悦史さんは、放出の余韻が残っていて、半分、放心状態だった。

互いのモノと手を、手近に合ったティッシュで、俺が拭い終える。

「サンキュ。」

と、悦史さんが、小さく微笑んだ。

床に座り込んだ悦史さんの隣に、寄り添い、静かに、時間の流れに身を任せる。


「昨日、サポートメンバーの二人から、連絡があって、一週間後なら、貸しスタジオ、押さえられるそうだ。」

息を整えた悦史さんが、話し始めた。

「・・一週間っすか・・急に、ライブが近付いてる実感、湧いて来たかも・・。」

「全員での音合わせまでには、新曲、覚えておけよ、元基。」

「悦史さんも、新曲、これから、ピアノ譜に、起こすんだよね?」

「・・しばらく、お前とのセックスは、お預けになりそうだな・・。」

悦史さんが、これからの多忙振りを想像したのか、溜め息を付いた。

「その分、たっぷり、キス、しようよ、悦史さん。」

悦史さんを抱き締めて、口付けると、その顔に笑顔が戻った。


ライブまで、しばらく慌しい日々が続きそうだ。




-end or to be continued?-





(続きの『ライブ編』は、私がゲスト参加させて頂いた、『なえきち本舗』様の、
6/6(日)東京開催のESCAPEオンリーイベント発行本
「ロリロリポップ、BL版、相姦号(そうかんごう)」で、お楽しみ下さいませ☆)



なえきち様のESCAPEサイト「2nd FIELD」



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