早乙女さんのお話14
『コミックAQUA』表紙・イメージ掌編

「precious time」(上条先輩・視点) by ひいろ




「いつまで、こうしてる気だ?元基。」

膝枕しながら、悦史さんが俺の顔を見下ろした。

「あんまり気持ち良いから、もうちょっと、このままでいてよ、悦史さん。」

「男の俺より、女性の膝の方が、寝心地良いだろ?」

「俺が、固い枕が好きなの、悦史さんも知ってるくせに・・。」

「俺の身体は、枕代わりか?」

「枕って言うより、布団かもね・・悦史さんといる時、俺は、何よりも安らげるんだよ。」

俺の答えに、悦史さんが苦笑した。

悦史さんと激しく求め愛し合う時間も、勿論、大好きで、大事だけど、こうして、事後、何気ない会話を

交わすひとときも、幸せだと思い始めたのは、一体、いつからだったのか・・?

腕を伸ばし、悦史さんの首に手を回した。

「今度は、キスのおねだりか?・・何時になく、甘えたがりだな・・どうした?」

項を指で辿ると、悦史さんが身体を倒し、静かに覆い被さってくる。

柔らかく微笑みながらも、俺の目を覗き込む悦史さんの瞳は、真剣そのものだ。

その眼差しに、俺の何もかもを、暴かれる気がした。

「何でもないよ、悦史さん。そんな眼で見つめないでよ、俺、また抱きたくなっちまう。」

悦史さんから、ほんのりとシャンプーと石鹸の香りが漂い、まるで媚薬のように俺を刺激する。

そのまま、悦史さんの身体を引き寄せようとした俺を、悦史さんが制した。

「お前が隠してること、白状するまで、キスは、おあずけだからな。」

「・・こんな時間も、いいなって、思ってさ。」

「?・・ん・・っ・・・。」

驚いた顔の悦史さんを、両腕で強く抱き締め、口付けた。

「悦史さんと、こうしていられる時間、俺、好きだよ。」

「俺も・・好きだぜ・・元基。」

掠れた甘い声が、俺の耳を擽る。

「・・もう一度、風呂、入り直しになりそうだな。」

「今度は、一緒に入ろうか?」

返事の代わりに、悦史さんが、俺を抱き返し、与えてくれたのは、口移しの、迸るほどの愛情だった。




-end-





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