早乙女さんのお話7
皆様のおかげで、2003年1月18日、当サイトもオープン一周年を迎えました!

本当にありがとうございます☆


「元基×悦史」シリーズのお持ち帰り用SS、「蜜月」を書いてみました。

新婚旅行を満喫している二人のお話、宜しかったら、お持ち帰り下さいませ。


このフォントで読みやすくするため、改行を入れていますが、メールでご連絡頂ければ、

改行無しのものを、お送り致します。

この物語の設定の具体的な地名等は、皆様のご想像にお任せ致します(笑)

「蜜月」 by ひいろ


暮れも押し迫った年末の或る日、まだ出勤には早い時間に、珍しくアキラが駆け足で、

店に飛び込んで来た。

「おはよう、アキラ。どうしたんだ?そんなに慌てて・・。」

「おはようございます、早乙女さん。ちょっと、良いですか・・?」

いぶかしむ俺の腕を引っ張り、店の裏口に連れ出した。

「アキラ・・。何なんだ?」

「悦史さん、これ、見てよ!」

スラックスのポケットに押し込まれていた紙片を、俺に広げて見せた。

「『○○温泉一泊二日ペアご招待』・・?どうしたんだ、これ?」

「さっき、店に来る前に、商店街で買い物してたら、福引やっててさ、俺、当たっちまったんだよ。」

「子供みたいに、はしゃいでるな、アキラ。」

「これで、やっと悦史さんと温泉行けるじゃん!あれ?嬉しくない?」

「そんなことで、急いで来たのか・・お前って奴は・・。」

俺の顔を覗き込んでいた元基の背中に、手を廻し、抱き締めた。

「悦史さん・・?」

「店の連中は、まだ誰も来てないからな。」

途端に、元基が嬉しそうな表情に変わる。

「正月明けの連休、一緒に行こう、悦史さん。」

「そうだな。だけど、正月明けだと、もうすぐだぞ?こんなに間近で大丈夫なのか?」

「もう確認済み!旅行代理店にも、ついでに寄って、予約して来たんだよ。」

「こういう時は、お前、本当に行動が素早いな。」

「善は急げって、言うでしょ?悦史さんの行動力、移ったのかもね。」

「まぁ、元々、あの連休はお前と過ごすはずだったしな、それが温泉なら最高だよ。」

「じゃあ、決まりね!待ち遠しいぜ。」

「そろそろ、他の連中もやって来そうだな。戻るか、アキラ。」

「はい、早乙女さん。」

「仕事と遊びのけじめは、必要だしな。」

「けじめ・・ね。」

「なんだ?」

「今日は、早乙女さんのほうが、俺に抱き付いてくれたのにね?」

ニヤニヤしながら、元基が言った。

「・・う・・まぁな・・。」

口ごもりながら、何だかんだ言いつつ、俺も元基に甘くなっているのは自覚していた。

「しっかり仕事して、しっかり遊びましょう!早乙女さん。」

「そうだな。まずは、仕事が先決だ。」


多忙の年末年始を越え、ようやく年明けの元基との旅行当日を迎えた。

店が捌けて午前11時。

それぞれの部屋に荷物を取りに戻って、桃が丘駅で改めて、元基と待ち合わせた。

通勤通学客に雑じって、元基がやって来るのが見えた。

「お待たせ!悦史さん。」

「ああ。俺も今、来たところだ。」

「寒いけど、空気が澄んでて気持ち良いね。天気も快晴だし、絶好の旅行日和だよね。」

「天気も旅行に味方してくれるなんて、ありがたいことだ。

尤も、現地は雪、降ってるかもしれないけどな。」

「それはそれで、風情があって良いよな・・。雪の露天風呂か・・。」

「元基、お前、今、露天風呂で別のこと、想像しなかったか?」

「え?バレてます?」

「口元、綻んでるぞ。」

「すいません、悦史さんの入浴姿、想像しちゃいました。」

「おい、元基、まだ出発前にそんなことじゃ、先が思いやられる・・。」

苦笑しながら、俺がそう言っても、元基はなんだか嬉しそうだ。

まぁ、仕方ないか。

夏の旅行以来、二人でゆっくり何処かに出掛けられるほどの余裕は、あまりなかったからな・・。

「あれ?悦史さん、その指・・。」

元基の視線が、荷物を持つ俺の手に移っていた。

目聡いな・・。

「こんな時じゃないと、これは付けられないだろ?」

「嬉しいよ、悦史さん。」

左手の薬指にあるのは、元基が俺の誕生日にプレゼントしてくれた指輪だ。

俺たちのエンゲージ・リングでもある。

女性客相手の仕事柄、いつも身に付けているのは無理だが、せめて元基と二人きりの時間は、

これを嵌めていたかった。

「だからって、こんなトコでキスはダメだぞ。」

人目も憚らず、抱き寄せようとした元基を、制止した。

「ちぇっ・・悦史さんだって、して欲しそうな顔してたよ?」

「・・っ!そろそろ、ホームに行かないと、間に合わなくなるぞ。」

「まぁ、ここは、譲るよ。キスは後でね、悦史さん。」

俺の照れ隠しがわかったのか、元基がクスクスと笑いながら、譲歩した。


帰省シーズンは若干外したせいか、新幹線のホームも然程混雑していない。

「はい、悦史さん。お弁当!」

「なんだ、売店に慌てて行くから、酒でも買ってきたのかと思ったら、駅弁か。」

「だって、車内販売じゃ種類も少ないでしょ?それに、こういうのも、旅の醍醐味だと思うし・・。

まだ、お腹、空いてないけどさ。」

「すっかり遠足か、修学旅行気分だな、お前。」

「悦史さんと一緒なら、それよりもっと楽しいよ。」

客商売とは言え、クリスマスも正月も、元基と過ごせなかっただけに、こうして一緒にいられて、

のんびりと旅行出来るのは、俺自身も嬉しい。

元基が、福引で当てたのは、俺たちが住んでいる街から、新幹線と在来線を使って、

約5時間ほどの山間の温泉だ。

着いてからのお楽しみと言って、元基は詳しい旅館の様子は教えてくれないのだが。

二人で駅弁を頬張った後、満腹感からか、元基が次第に、眠そうな様子になって来た。

「まだ乗換駅までに時間もあるし、少し仮眠しておけ。」

「なんか、眠るの、もったいない気がする・・。」

「向こうで、ゆっくりすればいいだろ。泊まるんだしな。」

「じゃあ、悦史さんの肩、貸して下さい。」

「ん?」

「座席より、こっちのほうが、俺にとっては寝心地良いからさ。」

「わかったよ。おやすみ、元基。」


俺の肩に凭れて、眠り始めた元基の横顔を眺めているうちに、俺も新幹線の適度な揺れにも

誘われて、いつの間にかうたた寝していたらしい。

「・・つし・・さん・・・悦史さん・・。」

耳元で、心地良い元基の声がした。

「う・・ん?」

「そろそろ、着きますよ?」

「え!?」

途端に目が覚めた。

「悦史さんの寝顔、そのまま、ずっと見ていたかった気もするけど・・。」

「そんな訳にもいかないだろ?お前は、ちゃんと休めたのか?」

「うん!悦史さんの肩枕のおかげで、バッチリ!」

「肩枕・・って・・。」

背凭れが高いから、あまり気にしてなかったが・・。

「あ・・悦史さん、なんか赤くなってる。」

タイミングを計ったかのように、車内アナウンスが、駅への到着を告げて、俺は少しだけ

救われた気持ちになった。

「じゃあ、降りよう。乗り換えもあるしな。」

「俺が荷物、持とうか?」

「これぐらい、平気だよ。体育会系のお前ほど、力自慢じゃないけどな。」

「それじゃ、俺が凄い力持ちみたいじゃない。」

「少なくとも、俺より、体力、あるだろ?」

「そうだね、悦史さんのおかげで、休めたし、これで、今夜も問題ないよ。」

「な・・っ!・・そんなことばかり言ってると、置いて行くぞ、元基。」

俺の育て方が問題だったのか、段々、口が上手くなって来てるな・・。

「待ってよ、悦史さん!」

それでも、早足になる俺の後を必死で追おうとする元基が、愛しく思えた。


客も疎らな在来線に乗り換え、しばらくすると、緑の山々が次第に雪景色に変わって来た。

「やっぱり、こっちは、雪なんすね・・。」

窓を流れる景色を見ながら、元基がしみじみと呟く。

「元基、スキーの経験は?」

「ないですよ。冬でも、泳ぎたいぐらいなのに・・。」

「そうか・・お前、スキーウェア、似合いそうだけどな。」

「カッコだけじゃね。そう言う悦史さんは?」

「俺は、滑れるぞ。」

「へぇ・・なんか意外・・。見てみたいな、悦史さんのスキー姿。」

「今回は無し。お前と、のんびりするのが、目的だからな。」

「こんなトコで、俺を嬉しがらせるようなこと、言わないでよ。

ここじゃ、俺が手え出せないの、知ってて言ってるでしょ?」

元基の顔が、少しむくれた。

「さっきの新幹線でのお返し。ホント、お前は可愛いよ。」

「ひでえなあ・・。その愛情表現、ひねてませんか?」

「アハハハハッ!」

「・・そういうトコも含めて、俺、べた惚れなんだから、仕方ないけどさ。」

「後が、怖そうだな・・。」

「覚悟しといてね、悦史さん。」

「程ほどに頼むよ、元基。」

「さあね?今夜の悦史さん次第かな・・?」

どうやら、今夜は、元基の要求をかなり呑むことになりそうだ。

俺たちの他愛ない会話も乗せて、列車は目的地に向かって走って行く。


旅館には、夕暮れ間近の時間に、ようやく辿り着いた。

「ようこそ、いらっしゃいませ。上条様と佐藤様ですね。

お待ちしておりました。どうぞ、こちらに。」

「お世話になります。」

「よろしくお願いします。」

宿の仲居に案内されたのは、閑静な離れの一室だった。

「では、ごゆっくり・・。」

一通り、この旅館の説明を終えた後、仲居は下がって行った。

少し寛ぎたかった俺たちは、夕食を遅めの時間に設定してもらった。

「福引で当たった旅行とは言え、随分、張り込んだな。」

部屋から見渡せる和風の庭園や、室内の内装を見ても、ここがかなりの高級旅館であることが伺える。

「行けるトコで、パンフを見せてもらって、ここが一番落ち着けそうだったからさ。」

「最近は、新築の旅館でも、離れがある所、多いらしいな。」

「家族とか夫婦水入らずで、過ごしたい人が多いんじゃないですか?・・俺たちみたいに。」

「・・そうかもな。」

「悦史さん、また顔、赤いよ?」

「そうか?」

『夫婦』と言う言葉に、無意識で反応してしまった。

元基の前では、俺のポーカーフェイスは、そろそろ通用しなくなっているらしい。

素知らぬ振りでやり過ごそうとしたが、誤魔化せなかった。

俺の左手の甲に、そっと手を重ね、元基が静かに口付ける。

さっきまで、外にいたせいか、俺に触れる元基の唇が、いつもよりもひんやりと感じられた。

「夕食後まで、待てないのか?」

「いつもと違うシチュエーションのせいかな・・今、悦史さんが凄く欲しい・・。」

「ここだと、後で、困るだろ?」

「だったら、一緒に露天風呂、入ろうか?」

「・・ああ。俺も少し温まりたい気分だからな。」

「温まるんじゃなくて・・熱くなること、しよう、悦史さん・・。」

こんな時の元基の声は、凶悪なほど濡れていて、間近で囁かれると、身体が疼いて困る。

元基の反応が嬉しくて、ついここに着くまでに、色々煽ってしまったしな・・。

誘いに肯くと、二人で浴衣を片手に、風呂場に向かった。


この旅館には、各部屋に小さいながらも、露天風呂が備えられている。

家族用なのか、岩で作られた露天風呂は、適度な広さで、湯気が湧き上がっていた。

「ふー。いい湯加減だよ。このサイズなら、二人で入れそうだね、さあ、悦史さんも。」

元基の手招きで、俺も湯船に浸かった。

冷えた身体に温かなお湯が、染み渡っていく気がする。

「悦史さんって、普段、洋服なのが普通だけど、浴衣って、意外に似合いそうだよね。」

「そうか・・?」

「うん。このうなじの辺とか、着物着ると、色っぽそう・・。後で脱がすの、楽しみだよ。」

俺の首筋を、元基の指がスッとなぞる。

「俺が浴衣着てるのを喜ぶのは、お前ぐらいじゃないのか?」

「誰にも見せたくない、こんな特別な悦史さん・・。」

「元基・・。」

「今日は悦史さんに、痕、一杯つけたい・・。」

「・・目立たないところなら、いいぞ。」

「俺のキスマークで、悦史さんの身体を全部、覆ってあげる。」

元基はそう言うと、俺の鎖骨の下の皮膚が薄いところを、軽く噛んで舐めた。

「んぅ・・。」

「まず、一つ目ね。」

いたずらっ子のように、ウィンクしてみせる。

「悦史さんの身体にあると、こんな痣も、まるで薔薇みたいだ。」

「それは、男に喩える言葉じゃないだろ。」

「俺にとっては、悦史さんはどんな美しい花よりも、魅惑的だよ。

こことか、スゲエ綺麗に色付いてる・・。」

「・・っあ・・そんなにするな・・。」

乳首を摘み上がられて、ほんの少し、キリリと痛んだ。

「痛い・・?敏感になってるのかな・・?こっちも硬くなってるよ。」

もう片方の手を伸ばして、俺のものに触れてくる。

「・・ふ・・ぅん・・お前だって、もうこんなになって・・。」

俺ばかりが喘がされるのが悔しくて、元基のものをやんわりと握り、擦り始めた。

「あ・・水ん中だと、たまんない・・。悦史さんの、濡れてるの、わかるよ。」

先端から滲み出すものを指先で擦られ、ジワジワと放出感が高まって行く。

「・・そんなにしたら・・もう・・出るっ・・。」

「悦史さん、前より堪え性、なくなってない?

でも、俺が、悦史さんをこんな風に開発したんだと思うと、スゲー嬉しいよ。」

「・・お湯の・・中に・・出ちまう・・から・・。」

ここで放ってしまうのは、抵抗があって、かぶりを振って元基に抗議したが、

「俺が飲んであげるから、大丈夫だよ。立ち上がって、後ろの岩に手を付いて。」

と、反って促されてしまった。

情動に抗いきれず、身体を支えるように、立ち上がると、ちょうど腰の位置に来る岩に両手を付いた。

「んぅ・・。」

元基が俺のものを、咥え込んだ。

お湯よりも熱く感じられる元基の口腔に、翻弄される。

口を窄め、ねっとりと、裏側まで舐められると、どうしようもなく身体の中を快感が駆け巡る。

「肌がほんのり染まって、こことの色のコントラストにグッとくるよ。」

「舐・・めな・がら・・喋・・るな・・っ・・。」

挑発的に俺を見上げる視線。まるで、視姦されているようだ・・。

元基の、俺のものに添えたものとは、別の手の指が、俺の双丘の間の窪みを探り当てた。

「陰になってるけど、こっちは、きっともっと紅いね。」

その窪みに、俺に見せつけるように自分の指を舐め上げ、元基が、中指を挿入した。

「っあ・・んっ・・。」

感じやすい、身体の中と外の両方を刺激される。

「悦史さんの甘いミルク、飲みたい・・。出していいよ?」

舌先で先端の溢れ出している部分を、チロチロと擽るように弄られ、一気に、俺のものが

昂ぶり膨れ上がった。

「・・っ!・・元基・・イクっ・・。」

熱い奔流を、元基の口中に解き放った。

俺が出した苦いはずの体液を、本当に甘いものを飲むかのように、元基がゴクリと飲み下す。

「久し振りだから、少し濃いね。」

「・・仕方ないだろ・・。お前とするの、俺だって我慢してたんだから・・。」

「悦史さんが、そんなこと言うから、俺の、もっとでかくなっちまったよ。

コレ、責任、取ってくれる?」

ザブリとお湯の中から立ち上がって、自分のものを擦り上げながら、元基がソレを俺に指し示した。

「今日は、どうして欲しい?」

「口でしてくれんのも嬉しいけど、今の悦史さんに、すげえ、そそられちまった。

もう、悦史さんの中に入りたい・・。」

「来いよ、元基。」

俺の中は、さっきの元基の指の愛撫で蕩けていた。

「もっと慣らさなくて、大丈夫?悦史さん。」

「俺も、お前が欲しい・・。」

放出したてだと言うのに、元基が俺を求めてくれるだけで、俺のものは、再び勃ち上がり始めた。

俺の片足を折り曲げ、膝裏から掲げ上げて、元基のものが侵入してくる。

「・・んぁ・・こんな・・体位・・じゃ・・お前が・・辛く・・ないか・・?」

「んっ・・。平気・だよ。湯船に・・浸かり・・ながらじゃ、・・湯あたり・・しちまうし・・ね。」

足だけ浸かっている状態でも、体温は上昇しているようで、しがみつく元基の背中は汗ばんでいた。

熱く濡れそぼっているものを、ズプズプとリズミカルに突き入れてくる。

「あ・・そこ・・イイ・・元・・基・・。」

「ベッドで、寝てやんのとは、また違う新鮮さだよね。」

繋がった状態で、元基が俺の背中を抱き締め、キスして来た。

「んむ・・ふぅ・・ん・・。」

飲み込みきれないお互いの唾液が、唇の端から零れ落ちる。

身体の中の上と下の粘膜で、元基を受け入れる快感。

貪るように、腰を動かし、互いに絡み合う。

「んっ・・悦史さ・・んの中、熱・・い・・。」

「お前のもだろ・・?擦られる感触がたまらない・・。」

「ここ、こうすると、悦史さん、ホントに気持ち良さそうな顔になるよね。」

「・・っあ・・くっ・・んぅ・・。」

腰を引き寄せ、元基のものが、内部のふっくらと膨らんでいるところを掠めながら、

より俺の奥深くまで入り込もうとする。

「こんな感じだと、どう・・?」

「凄・・い・・元基・・のぼせそうだ・・。」

「俺も・・だよ。悦史さんにのぼせられるなら、本望だ。愛してるよ、悦史さん。」

「・・元基・・愛・・してる・・。」

「・・っ!俺、もう・・イッちまうかも・・。」

「あっ・・ふっ・・んっ・・俺も・・!」

元基の腰の動きがどんどん速くなり、腹の辺りで俺のものが擦られ、俺もその刺激で、また

放ってしまいそうだ。

「俺に、たっぷりかけて・・俺も悦史さんの中にたくさん出すから・・。」

俺の中で、一段と、元基のものが容積を増した。

「くぅ・・んあっ・・またイクっ・・!」

「・・そ・・んなに・・締・・めた・・ら・・俺・・も出る・・っ!」

身体の中と外で、ドクドクと音が聞こえるような気がした。

お互いにきつく抱いて、俺が元基の腹に、元基が俺の身体の奥に、熱い体液を注ぎ合ったのは、

ほぼ同時だった。


「何か、良いことありましたか?随分、嬉しそうですね。」

夕食を部屋まで運んで来てくれた仲居にそう言われ、先ほどまでの浴室でのセックスを思い出し、

元基と顔を見合わせ、照れてしまった。

「ええ。まぁ・・。」

曖昧に言葉を濁す。

「この辺りは、温泉以外はさしたる名所もございませんが、ゆっくりなさって下さいね。」

「ありがとうございます。」

「うわー!美味そうだな。俺、もう腹ペコ・・。」

鍋を中心にした、山海の料理がテーブル一杯に並べられた。

『動いた』後だけに、元基が言うように、どれも美味しそうに見える。

「鍋は熱いですから、気をつけてお召し上がり下さいませ。後ほど、下げに参りますので。」

「いただきまーす。」

「先に、これで乾杯しないか?」

仲居が下がるや否や、元基が、箸を付けようとしたので、制止した。

「そうっすね。せっかくの日本酒だしね。はい、どうぞ、悦史さん。」

俺にお猪口を持たせ、元基が徳利から注ぐ。

「ありがとう。お前もな。」

同じように、元基のお猪口にも、注いだ。

「サンキュ、悦史さん。俺たちの新婚旅行に乾杯!」

「・・元基・・。」

「そうでしょ?」

「ああ。」

頷いて、酒を酌み交わす。熱燗が、喉を潤していく。

「さあて、どれから喰おうかな?」

元基が楽しそうに選ぶのを見ながら、俺はコイツといられる充実したひとときを噛み締めていた。


今は、一体、どれぐらいの時間なのか。

「ん・・っ・・。」

声を抑えようとしたが、吐息が洩れてしまう・・。

寝乱れた浴衣は、帯だけ残し、汗でくしゃくしゃになっている。

俺の身体には、元基の『宣言』通り、身体中にキスマークがつけられていた。

「ここは、離れなんだし、誰にも聞かれないから、大丈夫だよ、悦史さん・・。」

俺の中を熱い楔で貫きながら、元基が囁きかける。

「・・和・・室なん・・だから、防・・音は・・効い・・てないだろ・・。」

「・・心配性だな、悦史さんは・・。ほら、もっと、好い声、聞かせて・・?」

腰にグイと力をいれ、俺が感じる部分を、硬い先端で的確に突いて来る。

「ぁ・・あ・・んっ・・ダメ・・だ・・元・・基・・。」

「俺は、誰に聞かれてもいいよ。そうしたら、悦史さんが俺のもんだって、証明出来るし・・。」

「・・ぅん・・んあ・・もう・・とっくに、お前のものだろ、俺は・・」

元基の背中にしがみついて、耳元で告げた。

もっと、狂おしいほど、お前に独占されたい・・。

お前と出逢うまでは、無条件に『求められること』が、こんなにも満たされた気持ちになるなんて、

考えてもみなかった。

嫉妬は醜いだけじゃないし、愛する人に束縛されるのは、或る意味、幸福なことだと思う。

勿論、一方通行の想いでは、ダメだが・・。

愛し愛されるこの実感は、何物にも変え難い。

障子越しに、雪明かりに照らされた薄闇を見つめながら、俺は元基を求め続けた。

元基も、俺に熱烈な愛撫を施し、求め続けてくれた。


深々と降り積もる雪が、俺たちの密やかな情交を隠してくれる。


「外、まだ雪、降ってるのかな?」

「そうだろ。こんなに静かだからな。」

一つの布団に二人で包まって、情事の後の気だるさに身を任せ、呟くように会話する。

「明日、何しようか?、悦史さん。」

「そうだな・・特別、観光したいわけじゃないが、二人で街でも散策するか?

雪の中を歩くなんて、帰ったら、滅多に出来ないしな。」

「それもいいね、悦史さん。」

「お前と一緒なら、俺も何でも楽しいよ、元基。」

元基が、とても嬉しそうな顔で笑った。

明日も、幸せな気持ちで過ごせそうな予感がした。

「じゃあ、そろそろ、眠りましょうか。」

触れ合うだけの優しいキスをした。

「おやすみ、元基。」

「おやすみ、悦史さん。」


元基、もうすぐ、お前の誕生日だな。

この街で、お前と一緒にプレゼントを選ぶのもいいかもしれない。

そんなことを考えながら、深い眠りに落ちていった。



-end-







   HOME               BBS               STORY-menu-