早乙女さんのお話8
今年のバレンタイン・イラストは、「アキラ&麗士」バージョンで、既に描いてアップしたのですが、

「元基×悦史」バージョンのものも、何か作りたくなって、SS、書いてみました。

本当は、短いエピソードのミニSS予定だったんですが、気が付いたら、いつものSSと

あまり変わらない長さになってました(笑)

バレンタイン・イブなお話で、甘いことは甘いんですが、Hはバリエーションの違うものを

ちょっと書いてみたかったので、いつもの「元基×悦史」より、部分的に暴走してます。

(悦史さんに、『あんなこと』、してしまいました・・苦笑)

「rose of the destiny」 by ひいろ



夕闇が迫って、辺りが暗くなり始めてきた。

毎年この時期になると、街はチョコレートの甘い香りに包まれる。

明日のバレンタインデーは、club DANDYでも、イベントが企画されている。

店でも悦史さんと一緒にいられるが、二人きりで逢う時間が欲しくて、バレンタインには

一日早い今日、俺たちは二人とも休暇を取り、デートの約束をした。


コンコン・・。

身支度を整え、外出するために近付いたドアに、突然、ノックの音が響く。


「はい!どちら様ですか?」

「俺だよ、元基。」

聞こえて来た耳慣れた声に、慌ててドアの鍵を開ける。

「悦史さん!?」

勢い良く開かれたドアから、俺の驚いた顔を見て、クスリと悦史さんが微笑んだ。

「そんなに驚かなくてもいいだろ?」

「今日は、悦史さんの部屋で、待ち合わせてから、一緒に食事に行く約束だったよね?

だから、たった今、出掛けようとしてたんだよ、俺。」

「どうやら間に合ったようだな。お前がまだここに居たのは、以心伝心ってやつかな?

元基と二人きりでいられる貴重な時間なんだから、少しでも長く一緒にいたいと思って。

それにここからの方が、予約してる店に近いからな。」

悦史さん、俺と同じように、今日を楽しみにしていてくれたんだ・・。

「悦史さんが、ここに来てくれたのは勿論、嬉しいけど、でも、あと五分遅かったら、俺たち、

すれ違いだったかもよ?俺の携帯に、電話してくれたら良かったのに・・。」

「予想外なことも、たまには、良いだろ?」

企みが成功したかのように、クスクス笑い続ける、悦史さんの表情に魅了される。

「悦史さんには、敵わないよ・・。そこ、寒いでしょ?とりあえず、上がってよ。」

コート姿とはいえ、外の空気は肌寒く、悦史さんの吐く息が白いのがわかって、室内に誘った。

「ああ。じゃあ、お言葉に甘えて。」

「いらっしゃい、悦史さん。」

「相変わらず、綺麗に片付いてるな、お前の部屋は・・。マメだよ、お前は。」

「悦史さんの部屋は・・。」

「こら、言葉に詰まるなよ。」

「ごめん。でも、俺、悦史さんの部屋、凄く落ち着くんだよね。」

「あんまり褒められてない気もするが、あれじゃ、仕方ないか・・。」

悦史さんが、苦笑いした。

店では完璧な早乙女麗士を演じられる悦史さんも、意外と普段の生活は、俺と同じように普通の男だ。

高級マンションに住んでいても、部屋は少し雑然とした感じがするし、自炊もしてる。

その別の「顔」を知っている人間は、ごく僅かに限られている。

「これ、どうしたんだ?」

「あ・・もう見つかっちゃったね。」

部屋の中を見渡していた、悦史さんの視線が、卓袱台に置かれた青薔薇の花束に、移った。

「今朝、ジョギングしてる途中の花屋で見つけたんだ。凄く鮮やかな青でしょ?

悦史さんにあげようと思って・・。」

「紫じゃなくて、本当に青いな・・。」

「たぶん、人工的に着色されたものだとは思うんだけどね。まだ品種改良で、青薔薇が作られたって、

聞いたことないし・・。大抵、紫の薔薇に『ブルー』って名前が付いていたりするよね。

これ、あんまり鮮やかな色だったから、つい店先で買っちゃったんだよ。」

「そうか・・。現実にはあり得ない色だからこそ、神秘的な色に見えるんだな。」

神秘的・・それは、まるで悦史さん自身のことのようにも思える。

早乙女麗士としての顔と、佐藤悦史としての顔はあまりに違い過ぎて、どんなに身近に居ても、

未だに、この人の全ては、把握し切れてない気がする。

二つの顔は、相反するもののはずなのに、こうして付き合うようになった今では、どちらも

俺にとっては、かけがえのない大切なものだ。

俺が悦史さんとこうして出逢えて、恋人として付き合えるようになったのは、両方の顔を持つ、

今のこの人だからこそだと思える。

俺たちの出会いは、「偶然」ではなく、「必然」だった。

他人が何と言おうが、俺にとっては「運命」と呼んでもいい。

まるきり接点のなかった俺たちが出逢い、付き合ってるように、今は無理でも、いつか天然の

青薔薇が本当に誕生する日が来るかもしれない。

この薔薇は、その日までの希望の花のような気がした。

だからこそ、「ありえない」この色の花を、つい選んだのだ。

「いつか、本物の自生の青薔薇が生まれたら、悦史さんにあげたいよ。今日は、これで我慢して?」

「ありがとう、元基。」

花束に顔を寄せ、薔薇の香りを堪能している、悦史さんの嬉しそうな顔を見て、抱き寄せて

キスしたくなってしまったが、ディナーの予約時間が刻々と近付いていた。

「悦史さん、外、暗くなって来てるよ。そろそろ行かなきゃ!」

「そうだな。その前に・・。」

「んっ・・。」

悦史さんが俺の手を引き寄せ、抱き締めて、口付けた。

「花束のお礼だよ。」

まるで、俺の気持ちを見透かしているようだ。

「・・こんなことされたら、俺、悦史さんを外に出したくなくなっちまうよ。」

「デザートは、最後だよ。」

抱き返そうとした俺の唇に指をそっと押し当て、悦史さんが囁く。

まだまだ悦史さんのほうが、こういう時は何枚も上手な気がしてしまう。

「そうだね。腹が減っては・・って言うしね。行こうか?」

「もうちょっと、ムーディに頼むよ、元基。まぁ、俺も、腹は減ってるけどな。」

「最高のデザート、味合わせてね、悦史さん。」

「・・っ!」

囁いた途端、首筋が真っ赤になった悦史さんが、可愛く見えた。


2月のレストランは、あちこちでバレンタインのカップル用のディナーが用意されていて、

悦史さんが予約したこの店も、雑誌で紹介されてる、そんな有名店の一つだった。

心地よい音楽と、淡く暖色系の照明に照らされたテーブル。

ワインを片手に、次々と運ばれてくる料理に、二人で舌鼓を打つ。

「ここ、何て、予約したんですか?」

「ん?どうしてそんなこと、訊くんだ?」

「だって、周り、カップルばかりじゃない。」

「俺たちだって、カップルだろ?」

「それは、そうなんだけど・・男同士で座ってるの、俺たちだけだから・・。」

「『好きな人と、ディナーを楽しみたいから、お願いします』って、言って予約したよ。」

「そっか・・。」

「本当に大事な人なら、性別なんて関係ないって、ここのオーナーなら、ちゃんとわかってるしね。」

「ここのオーナーと知り合いなんすか?」

「そうだよ。club DANDYで働き始めて、最初の給料でここへ食べに来たのが、きっかけだったんだが。

そんなに大きな店舗じゃないけど、味も良いし、落ち着いた雰囲気だからね。

一度、元基とここに来たかったんだ。どうだ?」

「うん。どれも美味いよ。」

決して派手ではないが、料理の一つ一つが丁寧に愛情を込めて、作られているのを感じた。

「お前に、喜んでもらえて、誘った甲斐があったよ。」

「悦史さんが、今日、ここに誘ってくれたのがわかる気がする。」

「好きな人と美味しい料理を食べられるのは、本当に幸せなことだよ。」

悦史さんの暖かな笑顔が、俺の心を優しく満たしていく。

「俺も、悦史さんとこうしていられて、スゲー幸せ。」

「バレンタインは、日本では、女性が好きな人にチョコレートを贈って、愛の告白をするものだが、

海外では、男女問わず、好きな人に贈り物をする日なんだよ。これは、俺からだ。」

そう言って、悦史さんが手のひらに納まるぐらいの箱を、俺に手渡した。

「え?俺にプレゼントしてくれるの?」

「開けてみろよ、元基。」

促されて、包みを開封した。

「鍵?・・これって、もしかして・・。」

「俺の部屋の合鍵だよ。オートロックのパスワードは、俺の誕生日だ。」

「・・悦史さん。」

プライベートな時間を誰よりも大事にしている悦史さんが、俺にこれをくれるなんて・・。

嬉し過ぎて、泣きそうな気持ちだった。

「俺の誕生日に、家族になって欲しいって、プロポーズしてくれただろ?その答えだよ。

元基、これから先の色んな夢を、俺と一緒に見よう。何処に居ても、お前が帰って来るのは、

俺の元であって欲しい・・。」

「ありがとう、悦史さん。」

それ以上は、胸が一杯で、言葉にならなかった。

「さて、食事も終わったし、俺たちの部屋に帰ろうか。」

「そうですね。」

俺たちの部屋・・。

高校卒業後、水泳関係の仕事をしたい俺の夢がある以上、俺たちの今すぐの同居は難しい。

だが、こんな風に言ってくれる、悦史さんの気持ちが何よりも嬉しかった。


まだ暖房を点けたばかりで、室内はひんやりしているが、スーツの上から抱き締めた

悦史さんの身体は、心地良い温かさだった。

ネクタイを指で弛めながら、悦史さんの口腔を味わうように、舌を深く潜り込ませる。

「んぅ・・。」

唇の端から、お互いの飲み込みきれない唾液が零れて、顎を伝い落ちた。

「悦史さんの唇、いつもより甘いね。」

「さっきのデザートのせいだろ?お前のも甘いよ・・。」

ディナーのデザートとして出された、ガトーショコラよりも、こうして、舌で直に感じる

悦史さんの唇のほうが、何倍も柔らかく甘美な気がする。

「チョコレートより、蕩かせてあげるよ。」

閉じた瞼にもキスすると、悦史さんが擽ったそうに身を捩った。

「今日は、痕、つけるなよ。」

「わかってる。でも、ちゃんと悦史さんの身体の、隅々まで愛してあげるから・・。」

本当は、この身体も心も俺のモノだって証を付けたかった。

だが、明日のことを考えると、そんな我儘も言えないぐらいのことは、同じ仕事をしてる以上、

わかり過ぎるぐらいわかっている。

耳朶、首筋と口付ける場所を下げて行きながら、悦史さんのスーツとシャツを肌蹴させる。

俺の唇と舌が触れるたびに、悦史さんの身体がビクンと揺れる。

噛み付くような激しいものではなく、優しく触れるキスをすると、悦史さんが焦れたような顔をした。

「・・お前のも、脱がせてやるよ。」

俺の視線を釘付けにするほどの、挑発的な上目遣いで囁かれ、身体が熱くなる。

俺の中の滾る血を、まるで煽ろうとしているように感じられる。

「悦史さん・・俺、我慢してんのに、そんな凶悪な囁き、やめてよ・・。」

「凶悪か・・?」

「アンタを、全部、貪り喰っちまいたくなる・・。」

「元基・・お前になら、全部やる。」

「悦史さん、殺し文句、上手過ぎだよ・・。そんなこと言うから、俺のコレ、もうこんなだよ・・。」

悦史さんの手を、俺の硬くなり始めているものに導いた。

「俺が・・欲しいか?」

「うん。悦史さんの奥まで、これで愛したいよ。」

「そう・・か・・。」

静かに頷くと、悦史さんは跪いて、俺のスラックスのファスナーを下ろし、そこにある俺のものを

下着から引き出して、手を添えると、唇で咥え込んだ。

「ふ・・ぅん・・ん・・。」

「・・あ・・悦史さん・・そこ・・っ・・。」

たっぷりと唾液を絡ませ、硬い先端から裏側を筋に沿うように丹念に舐められ、俺のものが、

更に膨れ上がっていく。

「こ・・んな・・にデカ・・クする・・と・・咥え・・にくい・・だろ・・。」

「悦史さんが、俺のコレ、そうなるようにしてるんだよ。」

形の整った悦史さんの唇が、俺のものを愛撫する様は、視覚的にもエロティックだ。

「・・んぅ・・。」

熱い悦史さんの口から俺のものが出入りしているのを目にするだけで、達する寸前まで、高められた。

「悦史さんも、自分の、擦ってみて・・。今、舐めながら感じてるでしょ?」

悦史さんの上気して潤んだ瞳が、それを物語っている気がした。

「・・っ・・。・・そんな・・こと・・ない・・。」

そう言いながらも、俺に見せ付けるようにファスナーを降ろすと、徐に自分のものを扱き始めた。

「もう、こんなに濡れてるね・・音、聞こえるよ。一緒に達こう・・悦史さん・・。」

「っあ・・元・・基・・俺・・ダメ・・だ・・。」

「スゲー、気持ち良さそう・・俺のも達かせて・・。」

悦史さんの唾液と、俺自身から溢れ、濡れそぼっているものを、再び、悦史さんの口に咥えさせた。

「ぅん・・くっ・・ん・・。」

静かな室内に、二人の身体から放たれる、濃厚で卑猥な音が響き渡る。

「・・うっ。・・もう、出そうだよ・・。俺のを浴びてる、悦史さん、見たい・・。

顔に、かけても・・イイ・・?」

咥えたまま、俺のものを飲んでくれるのも嬉しいけど、白濁した液を顔に受ける悦史さんの姿も、

たまらなく色っぽい。

キスマークを拒んだ分、俺のことに応えたいのか、悦史さんがそっと頷いてくれた。

「・・お前の、かけて・・。」

「出ちまう・・っ!悦・・史・・さん!」

掠れた悦史さんの甘い声に促されるように、唇から解放された途端、俺の熱い体液が

悦史さんの顔に降り注いだ。

「・・っ!俺も・・イク・・っ。」

べっとりと俺の放出した白濁した液に塗れて、恍惚とした表情を浮かべながら、悦史さんも

体内の熱を解放した。

「ごめん・・大丈夫?痛くない?」

自分から言ったこととはいえ、調子に乗って、目の辺りまで、飛び散らせてしまった。

悦史さんの瞼の上に降りかかった俺の体液を、指で拭う。

「大丈夫。」

自分の手でも拭いながら、俺のその指先から滴っている液を、舐めとってくれた。

「今度は、悦史さん、気持ち良くするから、全部、脱いで・・。」

「お前もだ。抱き合いたいよ・・。」

昂ぶる気持ちのまま、性急に服を脱ぎ、ベッドにもつれ込んだ。

肌を重ね合わせ、抱き締め合う。

「こうしてるだけでも、気持ち良いけど、もっと悦史さんを感じたい・・。」

「お前を感じさせてくれ、元基・・。」

「じゃあ、膝の裏、抱えてみて。舐めてあげる。」

「こうか?」

晒された悦史さんの最奥の窪みに、右手の中指を、沿わせた。

「さっき出した悦史さんの、ここまで垂れてきてるね。」

「・・お前の視線・・痛い・・。」

俺に見られてるのを感じて、悦史さんのものが、また頭を擡げ始めた。

「感じてくれてるんだね。嬉しいな。」

唾液で指を濡らし直し、窪みを広げ、舌先を含ませると、クチュッと淫猥な音がした。

「っあ・・。」

「もう紅くなって、熟れてるよ。俺の、挿れて欲しがってるみたいだ。」

「そんな・・こと・・解説・・しなく・・て・・いい・・から・・。」

途切れ途切れに喘ぎながら、左手を伸ばし、俺のものを手のひらで柔らかく握り込んだ。

「恥かしがってる悦史さん、可愛いよ・・。」

「・・んぅ・・それ・・じゃ・・足り・・ない・・。」

舌から指に換えて、悦史さんの中の感じる部分を掠めるように弄ると、切なそうに眉根を寄せた。

「もっと、長いもので、突いて欲しい?」

「そこ・・もっと・・一杯・・擦って・・元基・・。」

握った俺のものを擦り、腰を振って、強請ってくる仕種に、欲情させられた。

「その言い方、凄くクルよ・・。挿れるよ・・悦史さん・・。」

「あ・・。」

俺の濡れて硬くなった先端を感じたのか、悦史さんがブルッと身震いした。

体重をかけて、俺のものを、誘うようにヒクヒクと蠕動する、悦史さんの中に穿つ。

「・・んあ・・っふ・・ぅん・・。」

今日は然程慣らしていなかったのに、悦史さんの中は、しっとりと俺のものに絡み付いてくる。

「悦史さんの中、熱くて、気持ちイイよ・・ここだったよね?、擦って欲しかったの・・。」

二人の体液で滑るのを利用して、一度腰を退いて、グチュリと音を立てるほど、深く中に

沈み込ませると、悦史さんの性感帯に巧く当たったようで、一瞬で、悦史さんの表情が変わった。

「っ!・・そこ・・もっと・・乱暴に・・しても・・いい・・。」

「こう?」

強く打ち付けるように、腰をグラインドさせた。

「・・あ・・んっ・・は・・っあ・・。」

揺さ振られながら、悦史さんが必死に、汗ばんだ俺の背中にしがみ付く。

「悦史・・さん・・綺麗だ・・。」

快楽に身を任せる悦史さんの姿は、どんな女性よりも美しく感じる。

「・・元・・基・・。んっ・・。」

荒い呼吸で、俺の名を呼んでくれる唇に口付けた。

突く角度が変わって、悦史さんの中が俺のものを一段と締め付ける。

「凄く・・締まる・・俺、もう・・保た・・ないかも・・っ・・!」

「俺も・・もう・・イキ・・そう・・っ!」

俺たちの腹の間で擦られた、悦史さんのものも、脈打ち、膨れ上がっていた。

腰の動きを、更に早める。

「・・っん・・ふ・・んぁ・・ダ・・メ・・出・・る・・っ・・。」

「そん・なに・・した・・ら・・俺・・も・・。悦・・史・・さん。・・うっ・・!」

悦史さんの絶頂感に導かれて、俺も悦史さんの中に、体液を打ち込んだ。


「明日、平気?悦史さん。」

「微妙だな・・キスマークは、確かに付いてないが・・。」

ベッドサイドに置かれた鏡を覗き込んで、悦史さんが身体を確認する。

「今夜は、これ以上しないから。」

「そう言いながら、この手はなんだ?元基。」

つい、悦史さんの腰に廻してしまった手を、ピシャリと叩かれた。

「こっちなら、いい?」

悦史さんの頭の後ろに腕を置く。

「これなら、いいぞ。朝、お前の腕、痺れてるかもな。」

「体育会系を、見くびらないで下さいよ。ちゃんと一晩、悦史さんの腕枕になりますから。」

「ありがとう。元基。」

「おやすみ、悦史さん。」

そう言った俺の声が聴こえたのかどうかはわからないが、悦史さんの寝息が聞こえて来た。

バレンタイン・イブな一夜は、こうして更けていった。




-end-




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